技術士試験に関する資料を整理していたら、色々と懐かしいものが出てきた。
以下は、私がかつて技術士総合技術監理部門を受験して、落ちた記録である。
1. 事前準備
平成11年度の機械部門にて口頭試験の受験経験があり、その時は非常に和気あいあいとした雰囲気だった。ただ合格はしたが、質問に対して十分な返答は出来なかったと今でも思っている。その時は、即答せずにしばらく考えていると、試験官の方から「助け船」を出された。
今回は当時準備した、想定質問集に3義務2責務やCPD・リスクマネジメント・プロジェクトマネジメントに関する質問と回答を追加した。
想定問題は総数でちょうど100問になった。
(前回分75問+今回準備分25問)
2. 試験前
試験日の時間前に、お約束のドトールコーヒーで青本を読みながらコーヒーを読んでいると、同じ受験生の方から声を掛けられた。聞くと、既に建設部門と環境部門にて技術士を取得されており、今回が3部門目とのこと。(すごい!)
年齢は、40歳台の後半くらいで非常に落ち着いておられた。その方は、青本に関する質問は出ないのでは?・試験官は必ずしも自分の専門科目と同じではないのでは?などと言っておられた。
私は専門が機械なので、正直環境に関する用語や質問が出たら、つらいですねというような事を言った。一緒に待機部屋まで行ったが、結局お名前を聞くことはなかった。残念・・・。
3. 質疑応答
試験官は2人であった。
(1)何か特許の取得や学会発表の経験はありますか?
いきなりの予期していない質問に、まったく面食らってしまった。
そして、最初の大失敗をやらかしてしまった。
私は、高卒で特許や学会発表の経験もなく、きっぱりと「ありません!」と言い切ってしまった。
今なら分かるのだが、「ありません!」などと言い切れば、コミュニケーションもなにもなく、試験官も次の質問に移りずらいと思う。具体的な出願や発表の経験がなくとも、「現在出願を考えている案件があります」とか「将来は、学会発表なども考えています」とかいくらでも「次につながる回答」はあったはずである。
そうなれば、「その内容は?」というようにコミュニケーションは進んだと思う。
それを、「ありません!」などと言い切ってしまっては、コミュニケーションも何もない。
私は、この時点で半分ぐらい不合格が決ったと今では思っている。
また、試験官は「学会発表」という用語ではなく、何か専門的な用語を使って質問された。私は意味が分からず聞き返したところ、「学会発表のことです」と言われた。
(ちなみに、この用語は今でも分からない)
(2)では、何かアピール出来る業務は?
待ってました!という質問で、自分の専門に関する業務例(機械部門で合格したときの経験論文内容)を説明した。スラスラと説明出来たが、ここで2回目の大失敗!をやってしまう。
説明の最後に、「この考案した技術は、業界では初めての試みでした。ちなみにそれが業界初と知ったのは、その会社を辞めた後でした」と答えてしまったのだ。
仮にも総合技術監理部門の合格を目指している者が、当時従事していた業務に関して、その内容が業界でどのレベルにあるのを知らなかった・・・、というのを自ら告白しているのだ。さらに、バカなことにそれに追い討ちをかける第3の失敗をしてしまう。
試験官が驚き、苦笑いしながら「そうなんですか」というのを、コミュニケーションが進んだと勘違いしてしまったのだ。
そして、「そうなんです。会社を辞めた後に、用事があって前の会社に行くとパンフレットに業界初と書いてありまして、それで知りました」と言ってしまった。
大バカ野郎である。この時点で、私の不合格は決定的になったであろう。
その後、いくつかの質問があったが、特に印象に残るものはない。
ただ、試験官が質問に困っていたような印象がある。何か、無理に質問を作っているような・・・。
(3)技術士として普段考えなければならないことは?
これも今考えれば、3義務2責務に関する質問であったと思う。考えていると、試験官から「技術士法はご存知ですか?」と質問を変えられた。
一応答えたが、まったくコミュニケーションが取れていないような感じであった。
試験時間は、全部で約25分だった。部屋を出た後、「ちょっとして、すごい大失敗をしてしまったのでは?」と自問自答したが、すでに後の祭りであった。しかし、口頭試験の合格率は90%以上である。「まさか落ちることはないだろう。試験官と喧嘩をするか、まったく質問にこたえられない限り、落ちないと聞いたことがあるし」と思っていた。
ちなみに、100問用意した想定問題はまったく役に立たなかった。
筆記試験での回答内容・受験の動機・CPD・総合技術監理について・合格後したらどう活用するのか?などの質問はまったくなかった。
4. 合格発表
私が住んでいる県では、受験時の住所が県内の者は地方新聞に載る。当然私もその地方新聞を購読しており、当日朝の5時過ぎには起きて新聞を見た。総合技術監理部門の欄に、私の名前がない。
ちなみに、私は受験申込と前後して転勤で、他県から引っ越してきており、それで漏れたのかな?と思った。(この時点でもまだ、落ちるとは思っていなかった)
文部科学省のHPにアクセスしてみた。やっぱり名前がない。
どうやら無意識に、「ない、ない、ない、ない、ない・・・」と繰り返していたようだ。パソコンがある部屋で10才の長女が寝ていたが、その声で起きて「何がないの?」と聞いてきた。
私には聞こえず、今度は「落ちた、落ちた、落ちた、落ちた・・・」と繰り返した。(ようだ)
長女が今度は、「何が落ちたの?」と聞いたらしい。その声は全く聞こえなかった。
これはまったく無意識に言っていたようで、後で長女に「お父さん、キモチ悪かった。頭がおかしくなったのかな?と思った」と言われた。
まあ、もともとちょっとはおかしいのだが。
しかし、口頭試験不合格というのは、かなり応えます。少なくとも、その日の業務は手に付きません。思考回路はすべてストップします。業務上の技術的な検討は無理です。私は休んで、朝から酒でも飲みたかったが、どうしても現場に出なければいけない業務があり、休めなかった。
現場に行く途中に、ほころび始めた桜を見た。悲しかった。
5. 現時点での考察
技術士には必須の「現時点での考察」である。(笑)
すでに、書き尽くした感はあるが、やはりコミュニケーションが全てであると思う。
今回の不合格は、「なるべくして、なった」という感がある。私は、あるスポーツを嗜んでおり、その中に一人でタイムトライアルを行なう種目がある。この時に、調子が良いときは「おおっ、(スピードに)乗ってる!」と自分で感じるが、駄目な時は「だめだぁ~、だめだぁ~」と、ドンドンスピードが落ちる。丁度、その感じに似ている。駄目だと分かっているのだが、建て直しが出来ない。出来ないならまだしも、さらなる深みにはまってしまう。そんな感じであった。
ただ思うのだが、受け答えそのものは、前回の機械部門での受験の時と大差はない。前回も答えに詰ることは多々あった。だが、結果は180度違う。これはなぜであろうか?
それは、私が「総合技術監理」という部門に対して勝手なイメージを作ってしまい、その呪縛から抜け出すことが出来なかったからだと思う。「何を言ってるんだ、こいつは?」と思われるかも知れないが、本当にそう思う。
何も、「総監」を特別な技術士試験と考えなくても良かったのである。
(技術士試験自体が特別なのだから)
既に、他部門で技術士を取得しているのだから、自信を持って、しかし謙虚に受け答えをすれば良かったのである。これも、今なら分かることなのだが・・・。
そしてもう一つ。筆記試験の成績が合格ラインギリギリであったのではないかと思う。
うぬぼれになるが、前回の機械部門は合格ラインより上であったと思う。つまり、前回はすでに合格は決定的になっており、人物の確認のために口頭試験があった。
今回は逆で、合格ラインギリギリなので、呼んで話しをしてみて、OKだったら合格にしよう・・・ということではなかったか?そんな気がしてならない。
この拙文を読まれる方は、私と同じ失敗は犯さずに、是非とも合格をして頂きたいと思います。
(そんな失敗する奴、おらんで~)こだまひびき風に
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